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溜め息混じりに、琉は彼女――結花(ユウカ)を正面から見つめた。
すると、
「~~ッ」
ポンと顔を赤らめ、口をパクパクさせながら固まってしまった。
再び、琉は溜め息をついた。
「……結花って、本当に免疫ないんだな?」
「な……そういうワケじゃないです!」
「じゃあ、何で俺と目を合わせるだけで固まってんだよ?」
「む――……また、いじわるだ」
「、…………あのな」
琉はまた溜め息をつき、スッと左の拳を高く上げ――
ポカッ
「痛っ!?」
結花の頭に軽く振り下ろした。
まあ、“軽く”と言っても、男であり空手の有段者(というか黒帯)の琉にとっての――なので、
「~~~~~~」
綺麗に入った拳は、ド素人の彼女にとっては物っっっっ凄く痛いワケで。
それに気付いた琉は、絵に描いたように焦り――
「大丈夫か?」
――というワケにもいかず、頭を抑えてる結花を至って冷静に見ながら、
「――んな痛かったか?」
と、まあしれっとした表情。
「~~~~~~っ」
わなわなと震えだす結花。
「痛いわよ、琉のバカ!」
涙目の必死の抗議。
「聞き分けのない子には鉄拳制裁をと思ったが、……徒労だったようだな」
真面目くさった顔の琉。
「当たり前じゃない!大体、私がいつ貴方に制裁を加えられるような事をしたの?」
「、――…それなら、したじゃねぇか」
「えっ?……何をし――っ」
結花の言葉は遮られた。
重ねられた、琉の唇によって――
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