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とある街の通りの壁に貼り付けられた指名手配書には、不死身の狼男と書かれ不敵な笑みを浮かべる若い男の写真があった。
俺はそれを眺める。
陽炎
「ふーん、俺ってこんな顔をしていたのか」
イワンという名の神様(仮)によってこの世界に送られてから数日、魔獣に襲われたり刑務所みたいなところにぶちこまれたり、脱獄したりと大変な日々だ。
ちなみに自分の顔を指名手配書で初めて確認することが出来た。何にせよ、行く先々には鏡と言うものがなかったから。
俺の顔の特徴はくせ毛だらけの黒髪で若干タレ目で鋭く瞳の色も黒い。黄色人種、いわゆるジャパニーズだ。
それは記憶の片隅にあったので判断できた。
イケメンかどうかは基準がわからないので保留となる。
陽炎
「さてさてこれからどうするかな……」
頭を掻きむしりながら考えてみる。
脱獄してから数日、姿を10歳あたりの身体に変化させてチンピラをボコりながら金と服を奪ったのはいいものの、いつまでもこれを繰り返すわけにはいかない。
そんなことを考えながら表通りを歩いていると、あるチラシに目が止まった。
拳闘大会参加者募集中
優勝賞金100万
拳闘団無所属でも参加可。
陽炎
「拳闘大会参加者募集中…ふ……ふふ、これだ(ニヤリ)」
通りを歩く人達の視線を気にせず、「はは…ふはははははははは!!」と笑っていると通行人が通報したのか頑強な鎧に身を包んだ警備隊が来たのであらゆる手段を講じてその場から逃げ出した。
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