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物語はよく、急に本題から入ろうとするが、俺はそんなことはしない。
そういうのは性に合わない。
俺はゆっくりとこの物語を進めていきたい。
この物語は俺が夏休みに体験したおかしな事件についてを記したものなのだが…まあそれは置いといて、とにかくまずは自己紹介をしておきたい。
物語をより楽しむ方法の一つとして、登場人物たちの性格や考え方を理解することが重要なポイントだと俺は思う。
ということでまず俺、宮針京太(みやばりけいた)は、高校1年の16歳だ。身長175㎝の体重59キロ。性格はたぶんおとなしいほうだが、かといって静かすぎるわけでもない。成績とかは…別に言わなくてもいいだろう。
俺の家は父親が数年前に交通事故で亡くなっているので、母親が一人で俺と妹を養ってくれている。
うちの母親は海外で服飾のデザイナーをしていて、普段はめったに帰ってこない。妹ももう母親に甘えたがる年頃でもないし、毎月お金は入れてくれているので別段不便はない。それ以前に家事や食事を含めた家のほとんどのことは妹の千種(ちくさ)がやってくれるので俺に不自由は何一つない。
怠惰そのもののような俺とは対照的に、ありえない程のしっかり者の千種は、母親曰く死んだ父親そっくりらしい。
俺自身あまり記憶に無いのだが、面倒見のいい父親の優しかった声が、無意識なくらい深い記憶の中にうっすらと残っている。
俺はというと、家事が全くできずに父親に頼りきっていた母親にそっくりなのだという。
そんなことを、たまに帰ってきたと思えばすでに酔い潰れている母親が語るのだ。
以上、父親母親俺妹というのがうちの家族構成なのだが、もう一人、うちの家族を語る上で外せない人物がいる。
それが大神りくだ。
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