プロローグ

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大神(おおがみ)りくは、俺と千種の幼馴染みであり、今の俺のクラスメイトでもある。 りくの両親は昔ニュースで取り沙汰になった有名な飛行機事故の犠牲者で、運がいいのか悪いのか、りくはその事故の数少ない生存者だった。 事故があったのはりくが3歳の時だった。 たぶん、俺の父親が死んだのも同じ頃だったはずだ。 そんなことをまだ幼稚園児だった俺が、同じく幼稚園児のりくに聞かされ、同じような境遇に同情したのかなんなのか、その時からりくとよく遊ぶようになった。 当時6歳だった俺たちと、二つ下の千種との3人は、園内でも園外でも仲良しで有名だった。 本当の兄弟みたいで、本当の家族みたいで、仲がいいと言われるのがすごく嬉しかったのを覚えている。 両親をなくしたりくは、親戚に引き取り手がいなかったことから、近所のお寺の住職に引き取られることになった。 住職は俺と千種の家にあまり親が帰らないことを知っていて、よく俺たちをお寺に泊めてくれた。ついでに言うと俺たち3人の仲がいいことも知っていたのだ。 うちの母親も母親で、りくのことを一目で気に入り、自分の娘みたいに俺たち兄弟とも分け隔てなく扱かった。まあ、悪い意味でも良い意味でもだが。 母親がりくを気に入った理由は知らんが、りくはその頃から既に相当可愛かった。今となっては可愛さも短めだった髪の毛も倍増して、少し気は強いが、綺麗に整った顔立ちのセミロングの美少女になっている。 そうして俺たちはなんの問題もなく成長して、俺とりくは16歳になり、高校生になった。 そして、あの夏休みがやってきた。
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