無貌の保護者

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「判っちゃいるが止められない、個性は大事だろう? 俺の自己を表現するアイデンティティの形がこれって訳。まあ、随分と歪んで抑圧された世界だからな、医療界は」 「抑圧された世界に対する反発」 「それだ」 と彼は僕を指差した。「君は若いのに、随分と明晰な物言いをするな」 「明晰なんかじゃありません。けど、さっきも看護師さんに変わった喋り方だと言われました」 「あー、彼女の名前は『田村』と言うんだ。君の体調が回復するまでの間、身の回りの世話をする事になると思うよ。宜しくしてやってくれ」  
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