無貌の保護者

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 どうしてもその正体が知りたくて、自分が感じた感覚が正しいのかを確かめたくて、僕は好奇心を抑えることが出来ずに口を開いてしまった。その場の空気を読まずに、だ。 「……もしかしてお二人の間に何か有りましたか? 例えばその、恋人関係とか、肉体的な関係も含めて」  場が凍りついた、と僕は感じた。恐らくは福島先生も、田村さんも同じ様に感じていた筈だ。当たらずとも遠からず、僕は後悔した。二人は不倫関係に“あった”のだと確信した。 「ふふ、嫌ね。いきなり何を言うのよ。アタシはこんな人、タイプじゃないわよ」 と田村さんは笑いながら、僕の食膳の準備を始める。だが、僕には彼女が嘘をついてるのが判った。根拠はない。だが“判る”のだ。  
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