無貌の保護者

2/39
65人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
 ――僕は闇の中にいた。何も見えない、何も聴こえない真の闇。酷く頭が痛んだ。気が付けば、身体の節々まで痛む。ここは何処だろう? なぜ僕はこんな所にいるのか? 何も判らないし、思い出せなかった。  どうやら僕は座り込んでいるらしい。こんな所で座っていても埒が明かない、と僕は立ち上がり、右も左も(また上下も)区別がつかない闇を歩き出す。  目的は無い。意味も、理由さえ無いのかも知れない。ただ歩く、それだけ。行為のみ。  
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!