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彼は頭をぼりぼりと掻いて苦笑いを浮かべる。その仕草は彼の癖の一つだ。「君は皮肉屋にも聞こえる物言いをするが、最後にチラッと見せる微笑みがズルいな、憎めない。案外、記憶が失われる前はナンパ師だったんじゃないのか?」
僕は何も答えない。記憶が無ければ、答えも持ち合わせる事が出来ないのだ。
「まあいいさ。今日は君に会わせたい人がいるんだ。部屋に入ってもらっても構わないかい?」
「会わせたい人? 僕は別に構いませんよ」
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