無貌の保護者

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「……福島、何度でも言うが『フェイス』と『ノー・フェイス』とでは意味合いがまるで逆だ。お前に言っても無駄だろうが」 と、ノー・フェイスと呼ばれた人物は言う。  声もまた特徴の掴めない、強いて言うならば“酷く中立的な声”だ。それは性別という意味ではなく、そんな明確な区分ではなく、世界を概念化し、その形のない概念の中心から聞こえるような声だった。 「君が記憶喪失の少年か…」 と彼(あるいは彼女)はジロリと僕を見下ろした。社交辞令の響きもない、まるで機械と会話をするような響きだ。  
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