無貌の保護者

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「その通り」 とノー・フェイスは言う。ほんの若干だが、その言葉には喜びが含まれていたように感じた。「福島は嘘をついた。私は彼に頼まれて、この病室を訪れたのだ。君が嘘をついているのか、ついていないのかを確かめてくれ言われてな」 「おいっ、フェイス!」 と福島先生は非難げに声を荒げたが、ノー・フェイスはお構いなしに話を続けた。 「君に興味を持ったのは本当だ。君は福島がここの看護師と不倫関係にある事に気付いたな?」  僕は福島先生の顔をちらと見て、遠慮がちに頷く。福島先生は頭をくしゃくしゃに掻いた。 「問題はソコだ。君はどうやってその関係に気付いた? どうやって福島の嘘を見破った? 重要なのはソコなんだ。さあ、答えてくれ」  
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