無貌の保護者

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「つまり私が福島に呼ばれた理由は、君が嘘をついていればこの病院から追い出してほしいという事と、本当に記憶喪失の薄幸少年であるならば、その救済措置を私に求めてきたという訳だ。判るね?」   ……僕には頷くことしか出来なかった。力の無い者に出来る事は、いつの時代も限られている。僕の状況は、まさに今、その事実に当てはまっていた。 「そうしょげるな、少年。私は君を助けに来たんだ。福島、彼は嘘はついていない。どうやら本物の記憶喪失らしい。そうでなければ稀代の嘘つきだ。どちらにせよ“逸材”には違いない」  
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