無貌の保護者

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「よーし、漸く意識が戻ったぞ。声は出せるか? 声、判るか? ボイス」  ボイス? まだ視界がハッキリとしないので、声の主の顔は見えなかったが、何を言いたいのかは理解出来る。そして自分の状況についても、ほんの少しだけ判った事がある。  どうやら僕は何処かに横たわっているらしい。何処かは判らない。それと怪我、もしくは打撲を身体中に負っている。骨折もしているかもしれない。それが何故かは判らない。  だが、それ等は些細な問題だった。それよりも僕には大きな問題が有った。  僕は自分の名前が思い出せなかったのだ。  
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