無貌の保護者

9/39
前へ
/111ページ
次へ
 ――次に目が覚めた時(夢は観なかった)、僕の体調は随分と良くなっているようだった。身体中の痛みはそのままだったが、意識はハッキリとしていた。  僕が横たわっているベッドの側には、背を向けて女性の看護師が立っていた。どうやら花瓶に花を生けているようだ。 「……あの」 「あら、やっと目が覚めた?」 と彼女は僕の覚醒に気付き振り返る。二十代前半の、朗らかな雰囲気を持つ女性だった。だが、残念ながらセミロングの茶髪は彼女には似合わないな、と僕は思った。  
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加