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「ぉ・・ぃ、・・ル。そろ・ろ、・・・きろよ」
なんか、遠くから声が聞こえてくる。
「おい・・・トオ、ル」
次第に世界がぐらぐらと揺れ始める。
「起きな・・と、
殴るぞ」
ハッキリと聞こえた次の瞬間、オレの後頭部に鈍い痛みがはしる。
「いっ・・・・」
痛みで目を覚ますとそこは茜色に染まった教室だった。
「お、やっと起きたのか」
「っ・・、ケント手前ぇ、また殴ったな」
オレがケントに怨みがましく言ってやると、いつも通り偉そうに返してくる。
「お前が最初の呼び掛けで起きないのが悪いんだよ。殴られたくなかったら起きることだな」
こうは言っても、ケントは「授業中に寝るな」とは言わない。
こんな風に変に不真面目な部分もあるからオレとケントは友達でいれるのかもしれない。
成績優秀なケント。
不真面目なトオル。
周りからは「何故あの二人が友達なの?」とよく言われる。
オレはケントの柔軟な思考があるからやっていけるんじゃないかと思っている。
「ほら、帰るぞ」
「おう」
ケントのその言葉に急いで立ち上がりリュックを背負った。
そして何か物足りないような違和感を感じる。
「アレ?そういや、シオリは?」
オレのその言葉にケントは不自然に動きを止めた。
しかし、それはほんの一瞬のことでオレは気のせいだと思いすぐに忘れてしまう。
「シオリなら、さっき友達に呼ばれて隣の教室にいる」
「で?迎えに来いって?」
オレのその言葉にケントは苦笑し「ご名答」と答えた。
「あぁ、そういえば、ケータイに・・・メール来てたよ」
ケータイを確認する。
「あ、ホントだ」
シオリからだ。
不在着信もある。
しかも、
この内容は・・・
オレは恐る恐るケントに尋ねた。
「メール、見てないよな」
そう聞くと呆れたようにこちらを見てきた。
「見てねぇよ。お前と一緒にすんなって」
「えー、でも前見てたじゃん」
「あれは油断していたお前が悪い」
ギャーギャー騒いで廊下を歩いていると後ろから声が聞こえた。
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