トオルとケントとシオリ

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「ケント!迎えに来てって言ったじゃない!!」 いつの間にかオレ達の後ろに立って叫んでいたのはシオリだった。 怒りマーク付きのシオリにケントはしれっと答える。 「あぁ、忘れてたよ」 「き~さ~ま~は~!昔からなんでこう」 ケントの悪びれのない言い方にシオリが地団駄を踏む。 「そういうお前も昔から成長しないけどな」 その言葉にまたシオリがキレた。 そんな二人の不毛なやり取りを見ていて思う。 ケントとシオリは幼なじみ。この二人の中に果たしてオレはいていいのだろうか。 傍目から見てもお似合いで、二人の距離の近さは嫉妬すら抱けない程に自然だ。 「おーい、トオル?」 「どうした、ぼーっとして。とうとう頭がイかれたか?」 二人がオレのことを覗き込んでいた。 「いや、何でもない」 「この様子だと話聞いてなかったな」 「え、何?何の話」 オレが話に食いついたことに満足げなシオリが言った。 「今日ね、友達に聞いたのよ」 「何を?」 「都市伝説」 都市伝説。 それは、近代あるいは現代に広がったとみられる口承の一種。 刺激の少ない学生にはよく広がることがある。 「どんな都市伝説?」 オレは三人で帰り道をだらだら歩きながらシオリに聞いた。 「通称【死宅配便】とか【デスサービス】とかって呼ばれてるんだ」 知ってる?と目で問い掛けてくる。 「やっぱ知らない」 「深夜0時に電話で、〔000-0000-0004〕にかけると運が良ければある所につながるらしいの」 「ふ~ん」 「で、そこに依頼すればその人の求める【死】を宅配してくれるんだって。でねでね、」 「依頼した奴は何か失うんだろ」 ありがちな話だ、とケントが笑う。 「あぁ!!私が言おうと思ってたのに!」 ふとケータイを見たシオリが焦った顔をする。 「やばっ今日用事あったんだった」 じゃ、と言って走り出したが少し行った所で振り返る。 「トオル!日曜日忘れないでね!!」 「わかってる!」 オレが答えると今度は本当に走って行った。
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