2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ケント!迎えに来てって言ったじゃない!!」
いつの間にかオレ達の後ろに立って叫んでいたのはシオリだった。
怒りマーク付きのシオリにケントはしれっと答える。
「あぁ、忘れてたよ」
「き~さ~ま~は~!昔からなんでこう」
ケントの悪びれのない言い方にシオリが地団駄を踏む。
「そういうお前も昔から成長しないけどな」
その言葉にまたシオリがキレた。
そんな二人の不毛なやり取りを見ていて思う。
ケントとシオリは幼なじみ。この二人の中に果たしてオレはいていいのだろうか。
傍目から見てもお似合いで、二人の距離の近さは嫉妬すら抱けない程に自然だ。
「おーい、トオル?」
「どうした、ぼーっとして。とうとう頭がイかれたか?」
二人がオレのことを覗き込んでいた。
「いや、何でもない」
「この様子だと話聞いてなかったな」
「え、何?何の話」
オレが話に食いついたことに満足げなシオリが言った。
「今日ね、友達に聞いたのよ」
「何を?」
「都市伝説」
都市伝説。
それは、近代あるいは現代に広がったとみられる口承の一種。
刺激の少ない学生にはよく広がることがある。
「どんな都市伝説?」
オレは三人で帰り道をだらだら歩きながらシオリに聞いた。
「通称【死宅配便】とか【デスサービス】とかって呼ばれてるんだ」
知ってる?と目で問い掛けてくる。
「やっぱ知らない」
「深夜0時に電話で、〔000-0000-0004〕にかけると運が良ければある所につながるらしいの」
「ふ~ん」
「で、そこに依頼すればその人の求める【死】を宅配してくれるんだって。でねでね、」
「依頼した奴は何か失うんだろ」
ありがちな話だ、とケントが笑う。
「あぁ!!私が言おうと思ってたのに!」
ふとケータイを見たシオリが焦った顔をする。
「やばっ今日用事あったんだった」
じゃ、と言って走り出したが少し行った所で振り返る。
「トオル!日曜日忘れないでね!!」
「わかってる!」
オレが答えると今度は本当に走って行った。
最初のコメントを投稿しよう!