2028人が本棚に入れています
本棚に追加
/468ページ
都庁の展望室から見える景色が悲しいものだとわかっているのに、火の中に飛び込む蛾のように惹かれてしまう。
もういっそ、ここから見える景色に吸い込まれ、下まで落ちてしまえば楽になれるのだろうか。
そんなことを考えながら新宿の夜景を眺め、風景と自分が溶け込んでいくのを待つ。
そうすることで少しだけ気持ちが楽になるからだが、所詮は気休めに過ぎないのかもしれない。
私はしばらくぼーっと景色を眺め、気持ちが少し楽になったので、都庁の展望室を降りた。
最初のコメントを投稿しよう!