第1章【夏の唄】

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――ミーンミンミン… 少しだけ汗臭い…。 諭の香り。 頬が熱い。 ――ミーンミンミン… 蝉の鳴き声がうるさい。 恥ずかしい。 でも、嬉しい。 様々な気持ちが複雑に絡み合う。 思考回路が麻痺する感覚。 私がそんな事を考えていると、 『……てく…よ…な…』 ――ミーンミンミン… 『え?何…?聞こえな…い。』 蝉の声で、諭の消え入りそうな言葉は掻き消された。 『…何でもない。はは…。ごめん。』 馬鹿、バレバレだよ。 本当は笑ってなんか無い癖に。 泣いてるの…? 私の肩に…ずっと額を当てて俯いている。 その表情を伺い知る事はできない。 『……さと…し?』 ――ミンミンミン……… ぎゅぅっと…私も抱き締め返した。
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