第1章【夏の唄】

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『昨日帰りにパンクしちまってさぁ。七海!乗せてって♪』 ニカっと屈託無く笑う。 でも待てよ? この時間に此処を歩いているという事は…。 こいつ、絶対私の事待ってたな…。 チャリに乗っていたとしても、まだ此処からじゃ40分はかかる。 歩きだったら遅刻だもん。 『良いけど♪諭が前ね!』 そう言って私は後ろに座った。 『さーんきゅ。てか待ち伏せバレバレですか?』 『バレバレです。』 ははっと笑い、諭はペダルを軽快に踏む。 『七海にゃ隠し事できねぇなぁ。』 『はっ。あんたの考えなんて丸分かりだっての。単・細・胞♪』 『んだと~っ!』 グラグラと蛇行運転され私は振り落とされそうになる。 『っきゃ!危ないってば!』 『あ、まだいたか…ちぇー。』 諭は私をちら見して言った。 『ばぁか。』 軽く頭をこづいて私は体勢を立て直す。 ――ミーンミンミン…
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