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「よし、場所もわかったことだし時間がないから、朝食を食べたら早速行こう」
「わかりました。……でもちょっと緊張しますね」
「そうか?まぁでも、人を殺す覚悟はしなきゃな」
「そう……ですね。なるべくなら殺したくありませんが、時には身を守るために殺さなければならない場合もありますし」
「今回は、そういった意味でもいい体験になるだろ。割り切らないと生きていけないしな。んじゃ、朝食食ったら行くか」
きっと、罪悪感は絶対ある。それでも……この世界で生きていくには必要なことだ。
帰りたい、なんて思わない。帰っても居場所は恋夜の隣だけ。家族もいない。
だけど、この世界には雪がいる。久しぶりに感じた家族の温もりに、顔や態度には出さないけどすごく、すごく嬉しかった。
恋夜はどうか知らないけど、俺はこの世界に残るつもりだ。恐らく、帰る方法は一生かかってもわからないだろうし。
というか、今思ったら恋夜がこの世界に呼ばれた時点で、魔族とか国同士の戦争に巻き込まれるのは必至じゃないか。
当分帰れないのは目に見えてるし、恋夜も帰ろうという気がなくなるかもな……。
「さて、シリアスな雰囲気をぶっ壊すために!やってきました奴隷商のアジト!なんとここは貴族の家ですよ!貴族と手を組むとかやるじゃないか奴隷商め!」
「……テンション高くないですか?」
「しんみりしたのは嫌いなんだ。ハイテンションになって、湿っぽい空気を吹き飛ばす!」
なんてやりとりをしながらも、目の前には奴隷商のアジトである貴族の家であろう大きな家。
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