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「そんじゃいくぞー『強制転移』」
次の瞬間、ユリナは自分の家の部屋の中にいた。
「……えっ?」
思わず声を出してしまうほどに驚いた。
きっとあの男の子の魔法なんだろうけど、こんな魔法は聞いたことも見たこともない。
同じ強制転移という魔法があるけど、指定者をランダムに飛ばすか、使用者の思い描いた場所に飛ばす魔法だったはず。
……すごいな。と、素直に思った。
そして、また会いたいな、とも。
ユリナはさっきまでは絶望の淵にいたことも忘れて、男の子のことで頭を一杯にしながら、軽い足取りで両親の元へと向かうのだった。
──ユリナSide End
「ふぅ、どうやらみんな帰る場所はあったみたいだな」
「そうですね」
「さて、あとはどうしようか……何かいい案はあるか?」
「この家の財産を全て盗った後、私の試したい魔法の練習台になってもらいます」
……なんか黒すぎじゃね?
「じ、じゃあそれでいこう」
そうしてこの日、この国から一つの貴族の家と、その存在が消えた。
それと同時に、行方不明になっていた人たちが、全員無事に帰ってきたのだった。
「やべ、フードとか被っといた方がよかったかな?」
「大丈夫だと思いますよ?……たぶん」
「ギルド総出で俺たちを探してるらしいからな……まぁ街をフード被って歩けばいいよな、うん」
奴隷商を潰したのは、暇潰し兼魔法の練習兼対人戦の練習のためだし、懸賞金なんて貰ったら悪いしな。
「はぁ、そういや恋夜はどうしてんのかな……」
その頃の恋夜はというと──
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