高校2年生・冬

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ぼーっとしながら授業が終わるチャイムの音を聞いた。 斜め前に座ったいた友達の 『杏(アン)』 がショートへヤーの髪を揺らしながら私の方に振り向く。 光に空かしたその髪は一瞬、金色に光って見えた。 「杏、また髪の色落ちてきたんじゃない?」 私は思った事を口にする。 「えー… 最近、黒く染め直したばかりなのに…… まぁいっか」 そう言って笑う杏は熟れた杏の実のように美しく甘く今にもとろけてしまいそうだった。 彼女はグループの子の中でも一番信頼できる親友みたいな子だ。 数ヶ月前まで金髪に染めてた杏の髪も彼女によく似合っていたが、今の黒髪もすごく似合う。 金髪は杏の名前の通り黄金の果実のようだった。 黒髪の今は彼女のまっすぐで強い彼女の心の板垣を見ているようだった。
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