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高橋の給料は手取りで約30万。
家賃と光熱費で約10万が消えていく中、五十嵐達に15万取られていく。
残り5万で生活することとなる。
食費を極力削り、休日はテレビを見ることもなく、一日布団の中で泣いていた。
「死んだほうが楽かな…」
そう思う日も増えていった。
そんな高橋に悪魔的思考が浮かび上がる。
「どうせこんなに辛い思いをするなら、金庫の金使って、勝負してやる!」
高橋は横領の計画を練った。
横領といっても、勝てばいいだけのこと。
勝てば、何もなかったかのように振る舞えばいい。
負けた場合…
負けたっていい。刑務所に入ってしまったほうが楽かもしれない…
高橋は次ぎの資金室当番の週に実行することを決意した。
「勝てばいいんだ!勝てば!!」
高橋は実行した。
金庫のお金を抜き取り、上着の内ポケットの中へと忍ばせた。
そして、仕事が終わると繁華街へ繰り出し、あるパチンコ店へと足を運んだ。
店内を一回りし、どの台を打つか迷っていた。
「…どうしよう。最近は打ってなかったし、どの台がいいのかわからないな」
とりあえず、自販機で缶コーヒーを買い、ベンチに腰を下ろした。
目の前には10箱積んでいながらも、まだ連チャンしている人間がいる。
自分もあれぐらい出せれば、どんなに幸せだろう。
そんな事を考えていると、その台に座っていた男と目があった。
自分よりは年上だろうけれど、格好は中々若い。
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