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すると、その男が席を立ち、高橋に声をかけてきた。
「あんた、負けてんのか?もし時間があるなら、ちょっとお願いしたいことがあるんだが…」
高橋は少々戸惑いながらも答えた。
「な、何ですか?初対面の僕にお願いって…ヤバい話なら無理ですよ」
「アハハハッ!そうだよな。初対面でこんな事言うのもあれだが、アンタ、死相が出てるぜ?金に困ってそうだから、バイトを頼もうと思ったんだけどな。無理ならいいや」
高橋は内心ムカッときたが、金に困っているのは事実。
とりあえずバイトの内容を聞いてみることにした。
「…その、バイトって何ですか?時間はあります。内容によっては受けてあげてもいいですよ」
男はタバコに火をつけ、台を指差す。
「あの台、閉店まで打っててくれねぇか?後3時間はある。俺は今からちょっとした約束があってな。出た分の七割をアンタにやるよ。ただし、確変が終わったら、5分間は台を打たないでくれ。5分後打ち出せば、また当たると思うからよ」
高橋はキョトンとした。
バイトはただの代打ち。
しかも、ノーリスク。
こんなおいしい話はない!
高橋は喜びのあまり声が大きくなってしまった。
「やらせてください!やります!!ありがとうございます!!」
回りの視線が集中した。男は高橋の肩に腕を回し、耳元で話した。
「声、大きいよ。そんじゃ頼んだぞ?」
高橋は確変中の台に座り、ハンドルを握った。
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