雪山にて。:アズー

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村を出て少し進んだ所から吹雪いてきた。俺は方向が判らなくなる前に森に沿って歩き始めた。 日も暮れて辺りが暗くなってきた頃、俺は一軒の小屋を見つけた。明かりも付いていたので人がいるのだろう。今夜はここにおじゃまさせて貰おうと、俺は森の中へと歩を進めた。 通りすがった木には雪山だというのに虫がついていた。やはりその土地に特化するのだなぁと思いながら小屋の戸を叩いた。 「すいません、旅の者ですが、ここで一晩を過ごさせて貰えませんか?」 と聞いた所、他にも旅人がいるらしい。快く受け入れてくれた。 小屋でも雪国特有の二段階形式らしく、玄関の戸を閉め、雪を払った後、もう一枚の扉をくぐった。この二枚扉のお陰で外からの冷気を遮断した室内は暖かかった。 中に入ってみて判ったが、小屋の部分が玄関で、人が住む居住空間は更に奥の方にあるらしかった。外から見たらなるほど、巨大な岩山の麓にある小屋だ。どれだけの費用と労力が使われたのだろうか。ここは岩山の中をくり抜いて造られた所だった。 いつの間にかいた小間使いのような人に導かれた先は客間のようだった。 「あー、だりぃ」 「………」 「そりゃナシだろ!?うわ、負けた!」「有りに決まってるだろうが!ワハハハハ!!」 そこには今までに来た旅人がいた。俺で5人目のようだ。 と、一人の男が歩み寄ってきた。 「………お前から我が同族の気配がする……」 そう言ったのはエルフだった。 「私の名はキリト。良かったら君が知っている我が同士の名を、教えてもらえないだろうか」 「あ、ああ。えーっと確か…グウェン・ルネ・エンターだ」 「……なに…!?」 明らかに動揺した様子だった。 「お前は我らが長の友か?」 「ん?あ、いや、俺が…じゃないんだ」 凄い剣幕で詰め寄るものだから俺もしどろもどろになる。しかも他の者も興味あり気に身を乗り出している。 「では誰が!!」 「紅蓮だよ!紅蓮!!あのくそったれガンナーだッ!」 「ぐ…紅蓮殿だと!?」 「は、紅蓮殿?ふざけるなよ?アイツら俺をスノーヴァレット岬に置き去りにしやがったんだ!!あぁぁぁぁぁあ!思い出したらムカつく!」 .
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