七月七日

3/14
前へ
/14ページ
次へ
一年に一度の約束を破り、渡れるものならこの大きな川を渡っていきたいと。 あなたの胸に飛び込みたいと。 何もかも捨てて、飛び込めるのなら飛び込みたいと、切に思っている自分の顔。 でも……。 それは決してしてはいけない行為。 そんな事をしてしまっては、一年に一度の約束すら、消えて無くなってしまう。 そう思うとグッと唇を噛むだけ。 あなたに逢いたくて。 抱きしめて欲しくて。 1年前の七月七日。 あなたの表情。 あなたの仕草。 事細かにこの瞼の裏に焼き付けている。 瞳を閉じれば浮かぶ、あなたの顔。 あなたに逢える日を指折り数え、あなたの顔を毎日思い浮かべている。 それだけが支え。 次にあなたに逢うまでの……。 あたしの支えは、それだけ……。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加