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※※※※※※
「どうしてこうなったッ!!」
「―― ティアナ、後ろッ!!」
「いぃっ?! た、体力ゲージがありえない位持っていかれたぁ!かっ、回復は?!?!」
「一旦エリア移動してやり過ごす方がいいかな、これは……」
楽しい楽しいロイヤルハニー集めは一変して地獄絵図の様相へと。ティアナとフェイトの前に現れた青い巨体の―― 熊とも、見る人によっては狸に見えなくもないソレがその引き金となったのは言うまでもない。
――『アオアシラ』
それがその存在の名称である。
大型と小型の中間――『中型』に位置する種で、ユクモ村周辺の渓流や水没林などを主な生息地にしているモンスターである。
主食はハチミツ。
……そう。ハチミツなのである。
「ハチミツ集めのお手伝いで……何でこんなモンスターが?!」
「―――― あ。」
「……フェイトさん?」
「なっ、何でもない……よ?」
「……嘘ですね。嘘なんですね?―――― 嘘だッッ!!!」
何やらPSPの画面を見て固まる上司フェイト。
何かやらかしたようである。
「言ってください、怒りませんから。絶対怒りませんから」
「……これさ、アオアシラ出るクエストなんだ」
「いや、クエスト達成条件は…」
「それはロイヤルハニーの納品で良いんだ。―― けど、主なモンスターってところに……」
クエスト確認の画面には、確かにアオアシラ―― と、書いてある
「…………」
「…ごめん、私のミスだ。ここはクエストリタイヤして別の――」
「やりますよ」
「ティっ、ティアナ……?」
「ここで引き下がるのは……うん、なんか癪に触りますし 何よりこれから先はアレ以上のモンスターと闘う事になる訳だし」
そう告げたティアナの眼に宿っているのは自暴自棄でも闘志でも無く―――。
眼が据わっていた。
「ガンドコってやつです」
――そんな言葉どこで覚えたの?
フェイトは心の中でそう呟きながら、とりあえずこのクエストが終わったら土下座して謝ろうと決めたのだった。
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