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―― とまぁ、そんな訳で今までの様に時間が使えなくなってしまったその代わりがこのゲームだったのだ。
「―― コレ難しいよ、ホント。勧めてくれたなのはには悪いけど敷居が高すぎるよ」
このゲームを勧めてくれた十年来の親友の姿を思い浮かべ、フェイトは愚痴る様に言葉を紡ぐ。
―― いや、彼女だけではない。
自分と同じ金色の髪を持つクイーン・オブ・ツンデレボイスの親友も―― 紫の髪色の親友も――
もっぱら最近『子狸』から『狸』にジョブチェンジしかけている親友もかなりパワープッシュしていたか。
ならば―― と、その全員の姿を思い浮かべてみる。
……何故か全員背中を向け 一言呟いた。
“ついてこれるか……?”と。
「…………」
『無理かな』 と、言わなかった自分を誉めたくなったフェイトであった。
※※※※※※
「……駄目だ。いくら探しても見つからない……」
キノコを求めて早くも三十分が経過していた。
このゲーム『モンスターハンター』には様々なクエストがあり、その一つ一つのクエストに制限時間が設けられている。全てとは言わないが大概が五十分、早いもので二十分くらいで フェイトが挑戦しているものは前者。
「こう、……何かヒントくらいあっても良いんじゃないかなっ?」
もはや時間が無い。
若干怒気混じりな愚痴が出てしまうが、何の解決にもならない。
無情なまでに時間だけが過ぎ――
「―――― あ。」
『クエストに失敗しました』
――― という無情なまでの結果だけが残った。
「くっ……うぅぅぅ~~ッ!!」
何という屈辱か。
執務官としての――― 何よりもまだゲーム何ソレ? 的な年齢ではない筈だ。
兎に角 屈辱以外になにも残らない結果だけが目の前にある。
リベンジしなければ立ち直れない何かが残ると判断したフェイトだが、ふとその手を止めて思考の海へと潜る。
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