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突然部屋に押し入って来た上司が告げた一言に ティアナ・ランスターは戸惑いを隠せなかった。
―――― 否。戸惑いなどというそんな甘っちょろいものではない。もっと恐ろしいナニかを感じている。主に第六感が。
「ひと狩りいこうよ!!」
「…………」
「……アレ? おかしいな、この一言で通じるってなのはが…」
シット。どうやらこの異常事態の大元は機動六課時代にお世話になった白いあくry―― ゲフンゲフン……教導官殿にあるらしい。
「フェイトさん 結論だけを言われても……その、困ります」
比較的大人な対応が出来た自分に御褒美をあげたくなるのをグッと堪える。
そう、まだ早い。こんなのは序の口だ。これから先 きっとこの人が告げる言葉は少し斜め上を逝く事になるとティアナ・ランスターの直感が告げているのだ。
「えっとね、……ティアナは航行中の暇な時間をどうやって潰してるのかな?」
……航行中の暇潰し。とな?
うむ、確かに次元航行中はわりと暇な事も多い。
実際問題、現場に赴く時間の方が長い―― というのはひしひしと感じているのだが……
「……そうですね、執務官試験の勉強や使えそうな術式の探索とか―― あとは自主練に報告書纏めたりとかですかね」
そう。執務官補佐という名の役職にいる身としては 暇などという自堕落的な時間は基本的に存在しない。
執務官になる為の努力を怠っていたのでは―― ただでさえ凡人というハンデがある自分としては、とてもではないが夢の実現など…正に夢のまた夢となって仕舞いかねないのだから。
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