隣の君に、泣かないで

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ご飯を食べたら2人で洗い物をして、後片付け。 それもすぐに終わり、借りてきたDVDの上映会をした。 リビングの2人がけのソファーに並んで座る。 テーブルにはお菓子とジュース。 晩ご飯を食べたばかりだけど、お菓子は別腹だ。 そんな万全の用意の中、DVDを再生する。 コメディに、ホラーに、純愛もの。 ジャンルはバラバラだけれど、気にせずにどんどん見ていった。 陸くんオススメのホラーは、泣くくらい怖かったけれど……。 DVDが進むと共に、私たちの距離はどんどん近くなる。 始めは並んで座っていたけど、やがて寄り添うように近づき、ホラー映画の恐怖も手伝って、最終的には陸くんの膝の間に抱えられるような姿勢に落ちついた。 陸くんの体温を背中に感じる。 私は、甘えるように彼の胸に顔をこすりつけた。 こうしているときが、とても幸せ。 「……晴香、DVD見てる?」 「み、見てるよー」 「ふーん……」 首筋に唇が当たる感触。 “チュッ”と音を立てて、陸くんが私にキスをした。 「きゃ! もう……陸くんこそDVD見てる?」 「見てる見てる。あ、晴香、チョコレート取って」 言いながら、今度は頬にキス。 「陸くーん……」 「晴香、すごい可愛い」 「ほらぁ、やっぱりDVD見てないよぅ……」 最後にはそんな風にじゃれ合うばかりで、ほとんどDVDの内容は覚えていなかった。 ……こうして夜は更けていき、日付が変わるくらいの時間になったとき、やっと全てのDVDが終わった。 交代でお風呂に入り、いよいよ寝ようということになる。 とりあえずリビングに戻ってきた私たち。 お風呂上がりの陸くんは、ジャージにスウェット姿だ。 頬が少しだけ上気していて、不思議な色気がある。 お風呂上がりが色っぽいのって、女の子だけじゃないんだな……。 「り、陸くん……その……寝るところなんだけど……」 緊張で口の中がカラカラだ。 「そ、その……い……、いっしょ……」 「……晴香」 「……んっ……」 全てを言い終わる前に、私の唇は陸くんのそれにふさがれた。 .
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