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「……ん……ふっ……はあ……」
何度も何度も交わされる口づけ。
陸くんが深く、私の口内を荒らす。
度重なる刺激に立っていられなくなり、私は膝から崩れ落ちた。
それをサッと陸くんに支えられる。
「……晴香、大丈夫?」
陸くんはそのまま私を横向きに抱きかかえ、お姫さまだっこの姿勢になる。
「り、陸く……」
緊張とキスの刺激ですっかり腰が抜けた私は、陸くんの首に腕を回してすがりついた。
「……晴香の部屋でいい?」
耳元でささやかれる声にゾクゾクする。
すっかり感情が高ぶった私は声を出せず、代わりに何回もうなずいた。
陸くんは微笑むと、私の額にキスをしてから、ゆっくりと私を部屋に運んでいく。
心臓が口から飛び出しそうだ。
呼吸の仕方が思い出せなくて、息苦しい。
必死にしがみついているからだろうか。
陸くんの胸の鼓動がハッキリと聞こえてくる。
それは私と同じくらい、激しいリズムを刻んでいた。
――――陸くんは私を抱えたまま、器用に部屋のドアを開け、中に入った。
私をそっとベッドの上に横たえる。
「り……陸く……」
「晴香……」
私におおいかぶさるように、上から見つめてくる陸くん。
ゆっくりとそんな彼からキスが落とされた。
それは触れるだけの軽いもの。
彼の唇は、すぐに私から離れた。
「……り、陸くん……」
「晴香……いいのか?」
陸くんの手が私の髪を撫でる。
いつもの優しい感触に、私の身体から少しだけ力が抜けていく。
すると……。
「…………っ……」
急にガクガクと全身が震えだした。
「晴香……」
「だ、大丈夫……大丈夫だから。私、恐くない。恐くないよ……!」
何とか震えを落ち着けようと、手を祈るように組んで握りしめる。
恐くない。
だって、これは私が望んだこと。
陸くんとひとつになりたい。
だから……恐くない。
恐くないんだ。
なのに、どうして震えが止まらないの!?
「俺は……」
陸くんが今度は私の頬に触れた。
まるで泣き出しそうな微笑みで、私を見つめる。
「俺は……恐いよ」
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