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「え……け、けっこ……ん?」
「もちろん今すぐにってわけじゃないよ。
それは無理だし。さっきも言ったけど、今の俺じゃ晴香を守っていく自信も力もないからさ。
……だけど……」
陸くんが指輪の上から、私の薬指にキスを落とした。
「だけどこの先の未来、俺がもっと強くなって、晴香を守っていけるだけの力がついたら。晴香を幸せに出来る自信がついたら。
そのときは……晴香、ずっと俺の隣にいてくれ」
「り……陸くん……」
ポタポタとティアドロップの上に、本物の涙が落ちていく。
私ったら……
本当に泣いてばかりだ。
「わ、私で……いいの……? こんなに早く決めちゃっていいの?
り、陸くんだったら、これから先、たくさん素敵な人に出会うよ」
「何言ってんだよ。晴香がいいんだ。……晴香じゃなきゃダメなんだよ。
未来に出会いがどれだけあっても、晴香以上に好きになれる人なんているわけがない」
「う……り、りくく……」
「晴香……。返事は?」
「そ、そんなの……い、言うまでもないよ……」
フワリと、陸くんの温かい腕に包まれた。
「……でも聞きたい。晴香、言葉にして教えて」
「……陸くん……。ずっと……私の隣にいてください。私を陸くんの隣にいさせてください」
「…………ありがとう。
俺の未来、晴香にあずける。これは、約束」
「や、約束……。忘れないでね。私の未来は、陸くんの隣。もう、そこにしかないんだから」
「ああ……」
陸くんと手と手を絡め合う。
キラキラと2つの指輪が光った。
未来を守る薬指と、幸せを守る小指の指輪。
陸くんの手が、その2つを包みこんでくれる。
「……たくさん泣かせてゴメンな。それでも俺を好きになってくれてありがとう。
絶対に誓うよ。これからの未来で晴香が俺の隣にいるときは、泣かせたりしない。
君が泣かないでいられるように、ずっと笑っていられるように。
そのために、君の隣にいるよ……」
耳元で陸くんがささやいてくれた声は、今まで生きてきた中で一番、幸せな響きだった。
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