隣の君に、泣かないで

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それから……。 私と陸くんは身体を重ねることなく、2人で私の部屋で眠ることにした。 ただし同じ布団には入らず、私はベッドで陸くんは床に布団を敷いて。 「り、陸くん……。私が床で寝るよ。お布団、寒くない?」 「だーめ。女の子を床で寝かせて、俺がベッドっておかしいだろ」 「でもー……」 「それに……晴香が普段使ってるベッドなんて、緊張して寝られねーよ」 「……り、陸くん……」 そんな風に言われたら、これ以上は何も言えない。 私は黙ってベッドに潜り込んだ。 オレンジの小さい明かりだけがともる、薄暗い部屋。 カチカチと目覚まし時計の秒針の音が響いている。 「……り、陸くん……。もう寝ちゃった?」 「いや、起きてるよ……」 「わ、私も……。ふふ、なかなか眠れないね……」 「そうだな」 布団に横になったまま、左手をかざす。 2つの指輪がぼんやりと目に映る。 「……り、陸くん……いつの間に指輪買ったの?」 「いつだっていいじゃん」 「で、でも……」 これ、結構高かったんじゃないのかな。 大丈夫だったのかな……。 あれ…… そういえば陸くん、よく休みの日に用事があるみたいだった。 それってバイトしてたってこと? 「陸く……」 聞こうかと思ったけど、やめた。 それは何だか胸に秘めた方がいいことな気がしたから。 「ん? なに、晴香?」 「……ううん。ねえ、何か話をしようよ」 「話? いいよ。なんか修学旅行みたいだな」 「そうだね……」 「じゃあ、あれかな。恐い話」 「えー……」 「冗談だよ。そんなに嫌がらなくてもいいだろ?」 「だってえ」 陸くんがクスクスと笑う気配がした。 「……そういえば晴香、中学のときの友達……『マヤちゃん』だっけ? それはどうなったの?」 「……うん。れ、連絡取れなかったの。マヤちゃん、携帯番号変えちゃってたみたい」 「え……?」
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