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「ぉきろ…、起きろって言ってんだろうが馬鹿者がぁー」
「……?…ん……。ん!、やっべっ!、こんな時間か!」
「速く仕度しろ、半端者のくせに、ぉら速く」
慌てて、布団から飛びだす、いつもと同じ朝。
全てがいつもと同じ……の、はずだった……。
…申し遅れました…俺、
"服部 信一"と言います。今、家業の"服部興業"で土木工事の仕事してます…。別に…好きで、この仕事してるんじゃ無いから…。
さっき怒鳴り散らしてたのが、俺の父、"服部 源次郎"。朝から怒鳴なよ……。
俺は、家業の土木工事の仕事、遣りたくてやってるんじゃない。むしろ、それしか出来ないから……。
中学生の時に"いじめ"にあい、対人恐怖症なので外の社会で働く事が無理なんです。
一方、源次郎は、そんな事はお構い無し。なんの理解もしていない。息子を、"ただ働き"させれるから…ただそれだけしか思ってない。
今日も朝から、春らしい爽やかな晴れ。
俺は工事現場に向かう。
トラックの乗り心地も、晴れ晴れとした天気のおかげで、全然気にならない。
それと今日は、"一輝さん"と、いっしょの現場。俺…本当は苦手な人なんだけど……。
トラックから降りるなり、後ろの方から独特の声が。
「信、おはよぅ!」
「和泉さん!?おはようございます!」
「お前、明日で32才だろ?しっかりしとけ!」
「和泉さんも誕生日同じっすよね?」
「だよ~、オレなんかさー、40だぜ!、四十~歳」
冗談半分の会話がつづく…。
俺の仕事の先輩…。
和泉 一輝さん。
髪は短めの茶髪。
大柄で喧嘩したら、この辺では、勝てる人はいない"だろおーなぁ~"と思わせる程の、筋肉質。
たくさん助けてもらったよ…。
街でからまれた時とか。
悪い事も教えてもらった。タバコの吸いかた。
何にも知らない俺に"髪染めてみたら"とか流行りのファッション教えてくれたり。
一輝さんが居たから、まともな格好で普通に居れた。
感謝してるけど……。
俺は、一輝さんが"表と裏の性格"がある事を近くに居て感じていた。
仕事ではとにかく外面がいい。自分の都合良くなる様に立ち回る。
表面上は、仕事の出来る人。
だが裏では……。
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