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でも気付けば言っていた。
口が滑った解釈してもらってもかまわない。
気が狂ったのかもしれない。
とにかく私は自分の意志とは別に口を開いていた。
「二千円札、遣った店は覚えてるから、今からそこ行くから、勘弁してよ」
言うと野口はまんまるに見開いた瞳で私を見つめ、不意に笑った。
おかしい。
なんでこいつが喋ってんのかとか、なんで泣くのかとか、なんで笑うのかとか、問題視すべき箇所なんて山ほどあるのに……。
ああ、本当に頭がおかしくなったのかもしれない。
私はそう思い込むことでむりやり自分を納得させて、さっさと面倒事を解決させようと目的のデパートまで歩みを進めたのだった。
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