男との出会い

5/7
前へ
/25ページ
次へ
男は、腕時計をちらっと見ていった。 「まだ、時間はある、このまま一人でいるよりお前たちといる方が安全だ。ここで会ったのも何かの縁だ」 俺は、この男に違和感を覚えていた。腕時計をしていることだ。 俺達の親の世代ですら腕時計はもっていなかった。もっていなかったというよりも不要だった。 携帯イコール時計なのだから、時計を忘れていても携帯は忘れない。 親父が携帯を忘れて仕事にならなかったと言っていた。 腕時計を忘れでもって仕事に支障はないだろう。 俺達には、タブがある。 携帯世代の親達よりも高性能であるタブなのだ。 腕時計をもっているのは、地位の高い一部のオヤジと時計マニアだけだ。 そのマニアも今じゃごくわずかだろう。 それに何かの縁ということわざだ。 とっさにこういう言い方をする若者は珍しい。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加