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男は、腕時計をちらっと見ていった。
「まだ、時間はある、このまま一人でいるよりお前たちといる方が安全だ。ここで会ったのも何かの縁だ」
俺は、この男に違和感を覚えていた。腕時計をしていることだ。
俺達の親の世代ですら腕時計はもっていなかった。もっていなかったというよりも不要だった。
携帯イコール時計なのだから、時計を忘れていても携帯は忘れない。
親父が携帯を忘れて仕事にならなかったと言っていた。
腕時計を忘れでもって仕事に支障はないだろう。
俺達には、タブがある。
携帯世代の親達よりも高性能であるタブなのだ。
腕時計をもっているのは、地位の高い一部のオヤジと時計マニアだけだ。
そのマニアも今じゃごくわずかだろう。
それに何かの縁ということわざだ。
とっさにこういう言い方をする若者は珍しい。
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