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「……これだから痩せられないんだよね……」
「そんな切実にならなくてもいいじゃない。愛莉はそんなに太ってないよ?」
「…………」
無言で、愛莉は澄香をじっと見つめる。
「澄香は太らないよね」
「そりゃね」
否定はしない。
澄香には太らない明確な理由がある。
「毎朝走ってるから」
矢野崎澄香は、自他共に認める『最強女子』である。
そこに比喩はなく、事実しかない。
「空手と柔道と剣道から離れちゃったけど、体力は落としたくないし」
高校入学まで、澄香は言ってのけた三つのスポーツをやっていた。
興味の無いことに対しては本当に興味が無い……しかし裏を返せば、興味を持ったものに対しては人よりもやり込むということでもある。
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