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「な、なななななッ……」
「あぁ、十文字ね」
驚愕する澄香に対して、愛莉は平然としていた。
「アイツとあんまり関わりたくないよね~」
「へ?」
愛莉は少年の存在を知っていた。
否、教室にいる誰もがそれを“当たり前の日常”として認識していた。
「ジュウモンジ……?ウチのクラスにあんな奴いなかったよね……?」
「何言ってんの?」
愛莉は澄香の言葉に首を傾げた。
「ずっと同じクラスじゃん」
「…………」
一瞬、自分の認識が誤っているのではないかと思った。
自分がど忘れしたのではないかとも考えた。
しかし、澄香の脳内に十文字という名前は無い。
どころか、十文字という少年が一緒のクラスだった記憶もない。
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