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『気分悪いから保健室に行く……』
ホームルームが終わって愛莉にそう告げると、クラス中がどよめきに包まれた。
矢野崎澄香の口から「気分が悪い」という言葉が出たことが衝撃であるのに、「保健室に行く」などという言葉が出てしまえば、これはもう天変地異の前触れか、謎のウイルスが流行する前兆でしかない。
それぐらい、澄香は元気が売りだったりする。
「十文字悠……」
どれだけ脳内検索を行っても、十文字悠という名前が出てくることはなかった。
澄香以外、全員が十文字悠を当たり前の日常であると認識していた。
「(ま、まさか謎の組織によって記憶が改変された!?)」
そう考えてしまうぐらいに、澄香は追い込まれている状況にあった。
「(か、考え過ぎか……)」
本当に自分が忘れているだけなのかもしれない……そう考えながら保健室に向かっている中で、澄香は一つのアイデアというべきものを思いついた。
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