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矢野崎澄香は部活に所属していない。
「どうして入部しないのか?」と聞かれれば「面倒だもん」と間を置かずに言葉にするぐらいだ。
彼女は興味のあること意外に時間を割きたくないという性格の持ち主で、友人からも「サバサバしている」と言われることも少なくない。
「…………」
放課後、澄香は図書委員としての仕事を全うしていた。
とは言っても、本を借りに来る生徒のカードに記入だったり手続きだったりと、仕事自体は大したことはない。
それ以外の時は、ただ本を読んで過ごす。
「……っと、時間か」
読み終えた本を閉じて時計を見ると、時刻は図書室閉館時間の六時になろうとしていた。
西日が差し込む図書室に、澄香以外の生徒の姿はない。
「今日もお仕事終了、っと」
カウンターの周りを片付け、戸締まりが出来ているかをチェックする。
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