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「喧嘩なんてして、一体何が楽しいの?そうやって人を傷付けるなんて……」
「偽善者、手を離せ」
「なッ……」
澄香が手を離してしまったのはただ言われたからではないし、それだけで食い下がるような性格ではない。
手を離してしまったのは、少年が自分に向けた瞳にあった。
「(何……?)」
その瞳から、何か自分と違うものを感じた。
それは闇……心の黒い闇が、少年の瞳に映し出されていた。
「あ、の……」
「チッ、オレは絡まれたから手ェ出しただけだ。正当防衛だろうがよ」
「そ……そんなの理由になるわけないでしょ!?」
恐怖すら覚える相手に、澄香は叫んでいた。
「ンだ?そのまま殴られてろッて言いてェのか?」
「そ、そういうわけじゃないけど……でも、人を殴っていいなんて理由にはならないの!!」
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