はじまり

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「……はじめまして」 その子は恥ずかしそうに、自分の母親の後ろに小さな身体を隠しながら、頭だけちょこんと出して俺にそう言ったのでした。 今から15年も昔の話ですが、これは俺と彼女が初めて出会った時の話です。 親父の仕事の都合で引っ越した訳なんですが、彼女は引っ越し先の隣の家に住んでたんですよ。 引っ越して来た挨拶をしに俺と母さんでお隣りさんを訪ねた時のひとこまが冒頭のシーンな訳です。 こんな恥ずかしがり屋さんの可愛らしい女の子だった彼女は今、俺の横で大股開きで椅子に座り、 「がははは」 と、そりゃあもう豪快に笑ってやがるのでした。
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