目的の王国

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手段ではなく、目的として。 人は、他者を尊敬しなければならない。 「目的の国、憲法前文」 ※ 国の中心を少し離れたところ。 国会議事堂の最上階にその男は居た。 男は、ガラス窓の向こうに広がる町並みを眺めていた。 ふと、後ろから声がかかる。 「失礼します、メドーベ首相。先ほど二人の青年がこの国に入国したとの情報が入りました。一人は、『恩寵の国』の元勇者候補、マルス・パラディーゾ。もう一人は、あの元魔王です」 「くふふ。魔王が禁忌を連れて歩くとは……」 男は笑った。 「まぁ、しかし。恐らく目的は、『目的の地図』だろう。禁忌は記憶を消されているし、あの元魔王は、非常に温厚な性格だと聞いている。放っておけ」 「はい」 そういうと、彼は軽く会釈をしてその場を離れた。 しかし、何か思い出したように立ち止まると口を開く。 「先ほど、元魔王が町の武器屋で大量の火薬を買って行ったそうです。宮廷の方から歩いてきたそうですよ」 今度こそ、彼は出ていった。 「…………」 宮廷には、史実の全てが資料として残されている。 「まさか……な……」
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