CASE1『バトンメール』

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俺は桃華と一緒に母校の前に来ていた。   「懐かしいな。いつ以来だろう」   「ナルは3年振りになるのかな?私は去年、学校の行事を手伝いに来たから1年振りくらいかな」   ネズミ色の古い建物。学校って何故かどんよりした感じに見えてしまうのは、俺だけだろうか?   そんな事を思ってしまう。   「あ…」   校門から1人の女子生徒が出てきた。   「あの子…雪村さんだ」   桃華がそう声を上げた。 どうやら見知った顔らしい。   「知り合いか?」   えぇ、と頷いて…   その雪村と呼ばれた女子生徒が俺達に気づいた。   暫し視線を送った後に呟いた。   「…桃華先輩?」   どこか不安そうな表情を浮かべている。   「雪村さん久しぶり。去年の学校の行事以来だよね?」   「えぇ。去年以来ですね。えっと…隣の人は?」   「あ、ごめんなさい。紹介するね。私の幼なじみの成京水。で…」   俺に視線を移してから…   「ー彼女は去年の学校行事で知り合った雪村しずねさん」   俺と雪村は軽く会釈して、はじめましてと声を掛け合った。   「それで、雪村さんは今から帰宅?」   「え?えぇ…体調が悪くて…」   確かに顔色は良くない。 どことなく生気がないように青ざめている。   「大丈夫か?家まで俺達で送ろうか?」   「いえ…大丈夫です。少し…風邪気味なだけだから」   そうかと短く返事をした。   「もし辛かったりしたら私に連絡してね。連絡先は…まだ分かる?」   「あ、はい。変わってなければ去年教えてもらったから分かります」   じゃ気をつけて帰りなさいよと桃華が声をかけて、雪村は帰宅していった。   「大丈夫かな?」   桃華が雪村の背中を見つめながら呟いた。   「ま、風邪ならすぐ治るだろ」   楽観的だったかもしれないが、桃華を安心させる為にそう言った。   「だと良いけど…」   さて、今からどうするか桃華に話しかけようとした時に声がかかった。   「…京水。お前、なんでここにいるんだ?」    声に反応して振り返ると、そこには俺の父さんがいた。   自殺の事を調べているなら、母校周辺を歩いていれば鉢合う可能性は高いと今更ながら気づいた。   「父さんッ…もしかして…自殺の?」   「あぁ…お前はどうしたんだ?学校に用事か?それに桃華ちゃんも久しぶりだな」  
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