CASE1『バトンメール』

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お好み焼きを食べながらさっきの続きを話す。   「えっと…どこまで話した?」   「メールを任意で送るようになった?からだよ。要約して言えばだけど」   桃華はあぁと、思い出したように頷く。   「そうそう。で、メールが送られて来たら、誰かに送らなくてはいけない…訳じゃないのよね」   「それは…メールの最後の注意書きにあった所だね」   うんと桃華は頷き、お皿に乗ったお好み焼きを口に運ぶ。   「私は…あの作りは面白いと思ったよ。だって、普通は自分が不幸になりたくないから…別の人間に送って広める訳じゃん…なのに、これは…広める気がないのかな」   「…確か、不幸の手紙やチェーンメールが桃華が言った作りだったよね」   「そうだよ。だから今回は不幸の手紙等のやり方とは真逆なの」   だから桃華は面白いと思ったのだろう。   確かに真逆だ。   送れば、自分が不幸になる。 それなら普通は送らないだろう。   …このバトンメールを信じたらの話しだけど。   「じゃ…放置していたら廃れるんじゃない?前に流行った時がそうだったんだろ?」  「…それが…廃れるより広まっているみたいなのよね。不思議でしょ」   あぁと俺は頷いた。   「それに今回は知らない人間じゃなくて、知っている人間から送られて来る可能性が高いからこそ…広まっているのかもね。それにー」   と、桃華はここで一端、声を止めて飲み物を含んで続ける。  「親しい友人に不幸が起きるって聞いて…いくら悪戯の一種でも気分はよくないから…だから送ってしまう。自分にならだったら、放置してたかもね」   「なるほど。確かにそうだな。悪戯にしては上手いやり口だな」   ここで俺はずっと疑問に思ってた事を話した。   「で、桃華は朝のメールから今までずっと、このバトンメールの話しオンリーだが…もしかして何かある?」   今までの桃華の行動からすれば… 間違いなく裏がある。   ない訳がない。   「あら。やっぱりそう思っちゃう?」   「図星だろ?」   「う~ん…半分かな。実は、私も今回の新しいバトンメールって知らなかったのよね。相談されるまでは」   桃華の表情が少し曇った。   「相談?」   「えぇ。後輩なんだけど。私達の母校のね。で、私がバトンメールを知らなかった理由は…母校で流行っているから…いや…母校だけで流行っていると言った方が正しいかな」  
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