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母校だけで流行る…
「え?じゃ…学校の生徒達だけで回しているって訳?」
「大半はね。もちろん、生徒や学生以外の人間にもメールは飛んでるけど、まだ広がってないみたい」
「あぁな。今から広がる可能性もあるってか…で、相談の内容は?」
「相談内容はとても単純だよ。メールの真偽を確かめられないかって話し」
桃華がお好み焼きの最後のかけらをほおばる。
だからホラー好きの先輩を頼ったって訳か。
「なるほどね。意味は分かったけど…疑問があるんだけど…」
「疑問?」
「そう…疑問だ。過去にこう言った悪戯や嫌がらせってよくあったろ?なのに何故、桃華の後輩は信じて悩んでいるのかという点だ」
俺は溶けかけた氷の入ったグラスに手を伸ばし、一口飲む。
「そこね。それは…ある出来事があったから。詳しくは分からないけど、メールを送ったけど相手が送らなかった人が次々と不可解な事に遭遇したらしいよ」
眉をひそめて聞く。
「不可解な事?」
「えぇ…例えば何かが壊れる。何かが失われるといった事が多いみたい」
「たまたまじゃないのか?」
「…後輩の子も初めは疑ってたらしいけど…何かが起こるタイミングが一致するみたい。メールを送って3日後にね…必ず起こるらしい」
「んな馬鹿な…誰かの嫌がらせじゃないのか?」
桃華が少し間をあけて答えた。
「ー確かにね。ここまでだったら悪戯の可能性が高いと私も思うけど…悪戯と思えない出来事が起こったのよ」
「悪戯じゃない事?」
「ーついに自殺者が出たって…」
「なッ…いやいやそんな馬鹿な」
確かに今朝のニュースで母校で自殺した生徒の話しがあったが…
「ナルも知っているんじゃない?ニュースになってるから」
「あ、あぁ…確かにニュースは見たが…信じられないがな」
桃華がさらに追い打ちをかけるように言葉を放った。
「ーあれだけじゃないのよ。ニュースになってないけど…メールの相談を受けてた新任の教師が急死したって」
「……まじか?」
桃華はうんと短く頷く。
偶然の一致?
偶然…教師が急死して偶然、生徒が自殺した?
それもバトンメール関係者ばかりが…か。
ただの偶然じゃない可能性もある訳か。
「ーどうするんだ?」
「そうねぇ…まずは情報をもう少し知りたいかな」
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