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「ハッハッハッハッハッハッ!!!」
「…………………へ?」
「あーいや、すまなかったね、春一君。俺は逃げろなんて言わないさ。君の覚悟が知りたかったんだ」
途中で逃げられても困るしね、とヨークは言ってチケットを畳む。
「大体ユナは春一君にはまだあげないよ、しばらくは愛でさせてもらう!」
「ヨーク!お、おま、お前なぁ!」
せっかくカッコ良く決めたのに!
「ハッハッハッハッ!!」
「笑うな!馬鹿!」
「いやいやいや」
パン、と手を叩くと妙に清々しい顔で、彼は春一を見た。
「覚悟を見せてもらったよ」
「………………………」
「手伝ってくれるかい?」
「………あぁ!」
再び握った拳を見て、ヨークは笑って空を見た。
星は確かに照らしてくれる。
最高のスポットライトだ。
(チケットは本物だったんだけど……ま、いっか)
後でキャンセルしに行こう、とヨークは鳶色の髪をかきあげたのだった。
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