カノジョの苦しみ

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痛み止めの注射が痛すぎ‼と、よく愚痴っていた。 薬も飲み続けていた。 しかし、カノジョの症状は重く、 食事を取るのも、寝たままだった。 大変だったのは、トイレ。 抱えて連れて行くが、 既に神経に触れている椎間板のせいで、 どんな体制をしても、 どんな動きをしても、 カノジョは、 声にならない程、痛がり、トイレまでの4歩程度の距離に、数分掛かるし、便座に座るだけにも、時間が掛かった。 トイレに行きたい… と、思ってから動いては、遅い。 カノジョは、 『トイレは時間を決めているの』 と、言っていた。 なんだか、健気で可愛らしかった。 歩行を助ける僕に、 何度も何度も、謝っていたのを、今も覚えている…。
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