72kgのカノジョの悲劇

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そう。 カノジョは、交通事故を起こした。 通いなれた道… その十字路が自分側が優先だと言う事は、知っていた。 相手側に、止まれの標識も、白線も、止まれと大きく書かれた道路の文字も、 その手前に、この先交差点と道路に書かれている文字も、 ある事を知っていた。 『私、一旦停止を過信したの…』 と言っていたが、 カノジョは、そのままのスピードで交差点に侵入した。 同じ瞬間に、 一旦停止無視の車が、 これまた、そのままのスピードで交差点に侵入した… 後に、僕もその交差点を通ってみたが、 見晴らしが悪く、 気付いてから止まっては、事故に遭うだろう事は、安易に予想できた。 だからこその、道路標識だろうに… 『違うの。だめなんだって。相手が一旦停止だからって、私の注意不足も原因なんだって。』 わなわなと怒りが込み上げる僕に、カノジョはそう言った。 命があるのが幸い、カノジョの車は当てられた衝撃で横転し、真っ逆さまで止まった。 途中、道路脇の木にもぶつかったらしい。 すぐに救急車で運ばれた。車は、廃車にせざるをえない程、大破していた。 相手は、カノジョを救助しなかったし、救急車も呼んでくれなかったらしい。 『驚いて、腰が抜けた』 と言ったそうだが、 車からも降りて来なかったそうで、 大破した車から、必死に出て来たカノジョは、 近所の人に助けてもらい、救急車を呼んでもらったそうだ。 カノジョが、 自分の身体に異変を感じ始めたのは、 救急車で運ばれた、病院先だった。 『左腕と、左足の、感覚が、ない、の…』
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