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そう。
カノジョは、交通事故を起こした。
通いなれた道…
その十字路が自分側が優先だと言う事は、知っていた。
相手側に、止まれの標識も、白線も、止まれと大きく書かれた道路の文字も、
その手前に、この先交差点と道路に書かれている文字も、
ある事を知っていた。
『私、一旦停止を過信したの…』
と言っていたが、
カノジョは、そのままのスピードで交差点に侵入した。
同じ瞬間に、
一旦停止無視の車が、
これまた、そのままのスピードで交差点に侵入した…
後に、僕もその交差点を通ってみたが、
見晴らしが悪く、
気付いてから止まっては、事故に遭うだろう事は、安易に予想できた。
だからこその、道路標識だろうに…
『違うの。だめなんだって。相手が一旦停止だからって、私の注意不足も原因なんだって。』
わなわなと怒りが込み上げる僕に、カノジョはそう言った。
命があるのが幸い、カノジョの車は当てられた衝撃で横転し、真っ逆さまで止まった。
途中、道路脇の木にもぶつかったらしい。
すぐに救急車で運ばれた。車は、廃車にせざるをえない程、大破していた。
相手は、カノジョを救助しなかったし、救急車も呼んでくれなかったらしい。
『驚いて、腰が抜けた』
と言ったそうだが、
車からも降りて来なかったそうで、
大破した車から、必死に出て来たカノジョは、
近所の人に助けてもらい、救急車を呼んでもらったそうだ。
カノジョが、
自分の身体に異変を感じ始めたのは、
救急車で運ばれた、病院先だった。
『左腕と、左足の、感覚が、ない、の…』
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