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裏のストックルームに入った私は、その狭さにうんざりとため息をついた。
ダンボールに混ざって立っているハンガーラックに、黒いベストとエプロンを引っ掛け、代わりに自分のコートを羽織る。
次の瞬間には、お情け程度に壁に設置された鏡も見ないで、肩に鞄を掛け足は出口に向かっていた。
薄暗いホールの中では、綺麗だと見とれたタバコの煙も、外の空気を吸い込めばけむいだけだったと思い知らされる。
だがドアを閉めて階段を上がり、地上に出ると人通りの激しさと、青梅街道を走る車の多さに、ここも空気が良かった訳ではないと深呼吸がため息に変わった。
私の故郷は観光するところが一つもないくらいの田舎で、いくら車を走らせても山しか目に入ってこない。
その風景に飽きて出てきたけれど、全てが作り物のここは、まるで映画の中にいるようでたまに息苦しさを覚える。
無性に帰りたくなる時もあるが、今のままじゃ帰れない。
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