第零章 大統領選出計画

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「……こいつらが、候補者か」 まごまごとするシュナウドの隣で、沈黙を続けていた男が声を発する。 現副大統領、アヴァロン。 シュナウドが大統領に繰り上がったことで、適任と抜擢された男だ。 口数は少ないが眼光の主張は強く、さらに抜け目がないため、キアラとは別の意味で注目を集めている。 「一つ確認したいことがある」 「はい、どうぞー」 「候補者達の中で、政界にすでに席を置いている者は何名だ」 「んー、ゼロ。 ちなみに、これから政界へ進出するって感じの奴は彼だ」 グロウスが候補者の一人をタッチすると、ブラックボードから文字とともに候補者の姿が飛び出してくる。 「……マモン家か」 「アルフレット・M・ロディー。 父親は財務担当グリム・M・ロディー、マモン家本家、三兄妹の長男。 頭脳明晰、性格は真面目と、まあ面白味もクソもない感じだな」 千鳥格子のスーツに身を包んだ、精悍(せいかん)な顔立ちの好青年だ。 グロウスは大きな欠伸を一つし、ポケットから包み紙を取り出して中身を口に入れた。 「今、口に含んだ物は何だ」 「飴っていう下界の食べ物。 味は幾つかあるんだが、俺はこのラムネソーダってのが気に入っててねー。 欲しいなら渡すけど?」 「……いらん」 「あっ、そう。 他に質問はー?」 ぐるりとグロウスが見回すと、マシュフォワールが片手を上げて待っていた。
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